産後52日目 胎盤ポリープ緊急入院③ 大学病院で手術宣告
(前回の記事の同日その後)
こちらでは時間外の入口から車椅子で移動した。
エレベーターで産婦人科のある階へむかう。
マスクでよくわからないけど、40歳前後くらいの女医さんが対応してくれた。
以下、佐藤医師(仮)
「妊娠はなんでダメになったの?子宮内胎児死亡?中絶?」と矢継ぎ早に聞かれた。
中絶って死産のことを聞いているんだよね・・・?
人工死産て中期中絶って言い方もするって見たような。
自分でも中絶って思っていたくせに、いざ実際に人から言われるとざわっとした。
というか言い方や聞きかたがキツくないだろうか・・・。
わたしはこの先生はちょっと怖い・・・。
内診をしてもらう。
どうやら出血は止まりつつある程度にはなっているようだ。
あとは「なぜ引っ越してきたのか」「不妊治療していたクリニックはどこか」なども聞かれた。
夫にも診察室に入ってもらう。
ここで子育てをするつもりで引っ越してきた。夫の仕事は都内。このあたりに身よりはいないし実家もお互い遠方である。
そういったこともまず説明した。
そこからは・・・
「東京の病院でMRIも撮られ、待機療法(生理を待って自然に胎盤が機能しなくなるのを待つ)方針だったようですが、もしこちらで治療されたいということであれば子宮動脈塞栓術の手術をおこなう方針です。
手術をしても8~9割のかたは妊娠できますが・・・。
1~2割のかたは生理がこなくなる、子宮内膜が薄くなってしまうなどの妊娠に影響が出てしまうリスクもあります。
子宮動脈塞栓術とは
はじめに太ももの付け根に局所麻酔を行い、大腿動脈に細い管(カテーテル)を入れます。
造影剤(X線写真に写る薬)を流して写真を撮りながら、左側の子宮動脈にカテーテルを進めます。
次に塞栓物質を造影剤と混ぜてX線透視画面で見ながら子宮動脈の流れがよどむまで注入します。
反対側の子宮動脈も同じ用に塞栓します。
カテーテルを体外へ抜去し、この部位を手で圧迫止血して終了です。
子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術(UAE : uterine arterial embolization)のご案内│聖マリアンナ医科大学
(放射線科の医師も必要。上記の方法で血流を止め、その後子宮鏡手術をおこなう)
胎盤がもっと小さいなら経過観察もありえますが、それでも病院には30分以内くらいで来れる方が前提です。
5㎝はありますし、血流もかなりあります。
今回は運よく止まりましたが、次出血が始まったら止まる保証もないですし。
輸血が必要なくらい出血する場合もありますし、止まらない場合は即手術をしないと危険なので。
普段は東京の病院に通い、急変したらこちらに来るというのも適切な治療ではないかと。
東京の病院の方針で治療されたいのであれば、万が一に備えてマンスリーマンションを借りてでも、病院の近くでしばらく生活されるのも考えたほうがいいと思います。」
緊迫した空気や手術のリスクが受け入れられずに、わたしは耐えられず泣き出した。
涙ながらに話した。
「もし手術を受けるとしても妊娠中からお産までずっとお世話になった東京の病院で考えています。
そこでも“もう手術を”と言われたら諦めもつくので。
せっかく診ていただいているこちらの病院には失礼なことを言っているのかもしれませんが・・・」
急に駆け込んできた患者からこんなこと言われたら面白くないだろうな。
勝手に引っ越してきたのはこっちなのに。
申し訳ないな・・・。
死産も経験して予後も良くなくて、最悪もう妊娠もできなくなるかもしれないって、なんでこんな目に遭うんだろう・・・。
そう思ったら涙が止まらなかった。
病棟の準備ができ、わたしは入院することになった。