Bitter Life

30歳から始めた妊活、不妊治療の記録です。人工授精、体外受精、人工死産、胎盤遺残、その後の妊娠について書いています。

再入院8日目 退院

※暗い内容も含みますのでご注意ください。

 

再入院8日目 日曜 退院


退院の朝がきた。
退院してもまだ火葬が控えている。
死産届を役所に提出して、火葬許可証と引き換えないといけない。
それがないと火葬してもらえない。
あいにく三連休で役所がやっていないため、退院してその足での火葬は無理だった。
真夏ではなくてよかった。

 

病院と提携している葬儀屋があるので、そこに頼めば火葬まで遺体を預かってもらえたり運んだり、火葬場の予約をしてもらえる。
けれどそれだけでおそらく10万はかかる。
そこは頼まずに自分たちですることに決めた。

 

持ち帰る場合は必ず死産届と赤ちゃんとセットで動くようにしてくださいとのこと。
確かに死産届がないと警察に「その箱はなんですか?」と聞かれたらトラブルになりかねない。
例えば持ち家がある人で火葬ではなく庭に埋めたいとか言い出したら、それって死体遺棄に入るのかな、とかどうでもいい妄想もはかどる。

 

朝食を食べて看護師さんがきた。
「地下からのお見送りになるので、病院正面に待機しているタクシーは使えません。
タクシー会社さんによっては、地下からの退院だと察してしまってちょっと・・・と断られる場合もあるので、自分たちで確認して予約されることをおすすめします」と。
まさかの乗車拒否の可能性が伝えられた。

 

入院費の仮払いのため時間外の窓口へ。
休日のため正確な計算ができずに仮払いになる。
時間外の待合室と窓口は、連休真ん中ということもあり混雑してしていた。
列に並んで支払いを済ますと、後ろも列が伸びている。
そこにこれから退院するであろう新生児を抱いているお母さんとその家族が並んでいることに気付いてしまって・・・。
惨めすぎてまた涙が出た。

 

夫が探してくれたタクシー会社は、亡くなった胎児と乗車しても箱に入っていれば大丈夫だった。
けれど時間指定ができなかった。
タイミングを見計らってまた電話しようと思ったのに、葬儀屋のおっさんが「タクシーってコンプライアンス的にダメなんですよね~」とかごちゃごちゃ言ってきやがった。
自分たちのところを使わせたいというのがばればれだ。
まぁこの人だって自分の仕事をしているだけなんだろうけど。
さすがに大人サイズ運びたいと言い出したら非常識だし、それはもう葬儀屋に頼まないと無理だ。
最終的に夫が最寄りのカーシェアを調べてそこまでタクシーで行き、車を持ってきてくれた。
カーシェアを契約していてよかったし、その場ですぐ考えて動ける夫に感謝しかない。

 

霊安室などがある地下に移動する。
通り過ぎるときに「解剖」という文字が見えた扉もあった。
地下は葬儀場のような雰囲気になっていた。
最後に担当した看護師、初診の女医さん、看護師長が来てくれた。
田中医師は昨日、明日退院なら休みと事前に聞いている。

 

赤ちゃんは祭壇に置かれていて、箱をあけて顔もちゃんと見てくれて、順番に手を合わせくれた。
空気に飲まれたのもあるけどまた泣いてしまった。
病院で亡くなったらこういう風に見送られるんだ。
知らなくてよかったことまでどんどん知っていく。

 

「このたびはありがとうございました。お世話になりました」と挨拶を済ませる。
一週間だったのに、前回の一か月より長く感じた入院生活が終わった。