Bitter Life

30歳から始めた妊活、不妊治療の記録です。人工授精、体外受精、人工死産、胎盤遺残、その後の妊娠について書いています。

美容室での会話 一番辛かったこと

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※暗い内容も含みますのでご注意ください。

 

久しぶりのまともな外出をしてきた。
ずっと歩き回ることはまだしんどいけど、休憩もはさむなら外出もできるくらいになってきた。
美容室は前回移植の数日前に行ったから、実に4か月ぶり。
入院中、切りたくて仕方なかった。

 

この美容室には結婚当初から行っているのでかれこれ5年は通っていて、ずっと副店長を指名していた。
夫と歳が近くて、4歳のこどもが一人いると聞いている。
人柄も合わないと思ったことはなくて、信頼もしていた。
自分も不妊治療していることも話していて。

 

最初に「ずっと自宅安静と入院していて、来たくても来れなかった」とだけ伝えた。
白髪が増えてきて気になってきたので、前回からとうとう白髪染めデビューもしている。
カラーの確認のときに「あれ、前回より白髪増えてますね」と言われた。
そら白髪も増えるわ
というのが正直な感想だった。

 

雑談しながら会話のちょっとした流れから、なんで入院していたかをすごくしゃべってしまいたくなってムズムズした。
身内と病院スタッフ以外とひさしぶりにしゃべれたこともあるかもしれない。
すごく変な話というか、面白くもない話をするんですけど、、、と前置きしたうえで。

 

治療が報われてようやく妊娠できたけど、5か月で破水して助かっても自力で呼吸できない、そもそも産めたら症例が報告されるレベルと命の選択を迫られ、ようは中絶に近いかたちで妊娠継続を諦めた。
副店長さんだったらそれでも奥さんに産んでほしいって言いますか?

 

ここでようやく初めて自分でも気が付いたことがある。
自分がなにが一番辛かったのかだ。
拡張の前処置や陣痛出産も確かにそのときは痛くて辛かった。
でも半月経ったいまでは過ぎ去ってしまえば過去のこと、終わったことでしかなくて・・・。


体外受精までしたのに。
これもそう思うけど、体外じゃなかったら妊娠できない身体と考えると仕方ないことのようにも思える。

 

赤ちゃんがお腹のなかで亡くなってしまっていたら、それはもうどうしようもないこと。
死んだ人間が生き返らないのと一緒。
自分が一番辛かったのは「そのとき生きていたのに自分たちの決断で終わらせたこと」だとそこで気が付いた。

 

「赤ちゃんをお空に返す」ってきれいな言葉を使ってくれた人も何人かいたけど・・・。
逆に反発したくなった。心拍確認できてたんだからようは中絶って心のどこかでずっと思っていた。

 

副店長さんは少しあせった風に「それはそのときになってみないとどういう判断をするっていうのはわからないし、話だけ聞いた他人が自分なら産むと思うって言うのは違うと思うよ」と。
すごく腑に落ちた。
夫が言った「その人の痛みや苦しみはその人にしかわからない」ということにつながると思った。

 

「わたしでも諦めると思う」と言われたら、なぐさめてくれているのかなと思ってしまうだろう。
「わたしなら継続を選ぶ」と言われても、自分より覚悟があると思うだけだ。
どっちで返されても結局納得はしないのだ。
「これが正解」はない。
もうこういう聞き方をするのはやめよう。
アンケートみたいに他の人の意見を聞いてみたって、気持ちをかき乱すだけ。
一番に聞いてしまった人がこの人でよかった。

 

ここは美容室であって、人生相談をする場でもないと一瞬冷静にもなる。
痛い、めんどくさい客って思われても仕方ない。

 

最初に「入院していた」と言った時点で、その理由を言ってこなかったから副店長さんはなにか察するものはあったらしい。
確かに普段のわたしなら「聞いてくださいよー!」とでも言いながら話していた気がする。
最後にもう一度こんな話してしまってすみませんでしたとも謝った。

 

いつもより短めに切ってもらえてすごくスッキリした。
これからも指名して通います。